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真言天台勝劣事・第十五章 秘蔵宝鑰の謬見を破折して結ぶ

            真言天台勝劣事

      第十五章 秘蔵宝鑰の謬見を破折して結ぶ

本文(一三八㌻六行~一三八㌻終)
 次に弘法大師釈摩訶衍論(しゃくまかえんろん)を証拠と為(し)て法華を無明(むみょう)の辺域戯論(けろん)の法と云う事是れ以ての外の事なり、釈摩訶衍論は竜樹菩薩の造なり、是は釈迦如来の御弟子なり争(いかで)か弟子の論を以て師の一代第一と仰せられし法華経を押下(おしくだ)して戯論の法等と云う可きや。
 而も論に其の明文無く随つて彼の論の法門は別教の法門なり権経の法門なり是(これ)円教に及ばず又実教に非ず何(いか)にしてか法華を下す可き、其の上彼の論に幾(いくばく)の経をか引くらんされども法華経を引く事は都(すべ)て之無し権論の故なり、地体弘法大師の華厳より法華を下されたるは遥に仏意にはくひ違いたる心地(ここち)なり、用ゆべからず用ゆべからず。
                    日 蓮  花 押

通解
 次に、弘法大師が釈摩訶衍論を証拠として法華経を「無明の辺域の仏の教えであり、戯れの論を説いた法である」といっているのは、もっての外である。
 釈摩訶衍論は竜樹菩薩の造であり、この人は釈迦如来の御弟子である。どうして弟子の論をもって、師が一代の教えの中で第一であると仰せられた法華経を押し下して「戯れの論を説いた法である」等ということができようか。
 しかも釈摩訶衍論にはその明確な文はない。この論で説く法門は別教の法門であり、権経の法門である。これは円教に及ばず、また実教ではない。どうして法華経を下すことができようか。そのうえ、この論に幾つかの経を引用しているけれども、全く法華経を引用していない。権教を説いた教えであるからである。
 もともと、弘法大師が華厳経よりも法華経を下したのは、仏意とは遥かに食い違った考えであり、用いるべきではない、用いるべきではない。
                    日 蓮  花 押

語訳
竜樹菩薩
(一五〇年ころ~二五〇年ころ)。梵名ナーガールジュナ(Nāgārjuna)の漢訳。南インド出身の大乗論師。付法蔵の第十四祖。のちに出た天親菩薩と共に正法時代後半の正法護持者として名高い。バラモンの出身で、初め小乗を学んだが、ヒマラヤ地方で一老比丘より大乗経典を授けられ、以後、大乗仏法の宣揚に尽くし八宗の祖と称された。著書に「十二門論」一巻、「十住毘婆沙論」十七巻、「中観論」四巻等がある。

円教
 円融円満で完全無欠な教えのこと。中国では諸経の教相判釈に際して最高の教を円教と名づけた。まず後魏(北魏)の光統(こうず)(慧光)が立てた三教(漸・頓・円)の一つで、華厳経を円教とした。また唐の法蔵が立てた五教(小乗教・大乗始教・大乗終教・頓教・円教)の一つで、法華経・華厳経をさすが、別して華厳経の所説をさすとしている。ここでは天台大師が立てた化法の四教(蔵・通・別・円)の一つで、華厳経等の爾前の円教と法華経の円教とがある。ただし、法華経は純粋に円教のみが説かれた経典のゆえに純円という。

講義
 第五問答の答えが続いているところである。先の四点にわたる難詰のうち、最後の④弘法が秘蔵宝鑰という著書で、竜樹の釈摩訶衍論の文を証拠に、法華経を無明の領域の教えであり、したがって真実を説かない戯(たわむ)れになす論であると貶(おとし)めていることに対して、破折を加えられているところである。
 まず、弘法の謬見(びゅうけん)に対して「以ての外の事なり」と一蹴され、その理由を次に述べられる。
 弘法が証拠とした釈摩訶衍論は竜樹菩薩の著作である。そして、その竜樹は釈迦如来の弟子である。とするならば、弟子の竜樹が、師である釈尊自身が一代説法のなかで最第一とした法華経を下して、無明の領域の教えであるとか戯れになす論であるなどと貶めるなどということはありえないと述べられている。
 現に、釈摩訶衍論は伝教大師も偽論であると断じており、現在では竜樹の著作でないことは明らかになっている。
 しかも、釈摩訶衍論に法華経を下す明確な文は全くないことを指摘され、この論自身の本質は別教で権経の法門であるから円教に及ばないし、実教ではない。ゆえに円教であり実教である法華経を下すなどということはできないと述べられている。
 更に、釈摩訶衍論に幾つかの経文の引用はあるが、法華経の文を全く引用していない、それは、この論が権教の立場を説いたものだからであるとされている。
 最後に、元来、弘法が華厳経より法華経を下したこと自体が仏の本意からはるかに逸脱したものであり、そのような謬見は用いてはならないと戒められ、本抄を結ばれている。

出典『日蓮大聖人御書講義』第三巻上(編著者 御書講義録刊行会 発行所 聖教新聞社)

                    真言天台勝劣事 ―了―

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